病児保育のフローレンスでヒアリング&視察(Vol.391)
2014/05/22 ブログ by 安川有里
子育てや教育施策の充実を図り、子育て世代から「選ばれるまち」を目指す横須賀市。
各分野の専門家による助言を政策に活かした「こども政策アドバイザー」の就任を先日発表しました。教育施策への助言をして頂くだけでなく、横須賀市の子育て環境の良さや取り組みの発信役としの活躍して頂きたい!と期待しています。
アドバイザーに就任されたのは、病児保育室の開設や待機児童対策などに取り組む認定NPO法人フローレンス代表理事の駒崎弘樹さんと、企業の働き方見直しに取り組む(株)ワーク・ライフバランス代表取締役の小室淑恵さん、乳幼児の心理や行動などを研究する東京大学大学院教授の開(ひらき)一夫さんです。(30日には、市民を対象にしたパネルディスカッションが開催されます)
そんな、アドバイザーのお一人・駒崎さんの認定NPO法人フローレンス。「子どもが病気で保育園に登園出来ない、でも今日は仕事を休めない……そんなときに、病児保育専門の保育スタッフ(こどもレスキュー隊員)が、ご自宅へかけつけ、お子さんをお預かりします。」
以前から、お話をうかがいたいと思っていた『フローレンス』。この機会に!と、本部でのヒアリングをセッティングし、先日「エリザベスサンダースホーム」の視察をした仲間と、飯田橋の事務所にお邪魔しました。
代表の駒崎さんは、自身のお母様の体験から問題意識を持ち、「子育てと仕事、そして自己実現のすべてに、だれもが挑戦出来るしなやかで躍動的な社会」を目指して、2003年にフローレンスの前進となる任意団体をつくりました。
病児保育ー急に熱を出す子ども。その時、仕事を休んでも大丈夫だろうか?そんな悩みを経験なさった方も多いと思います。
産まれて間もない免疫力の低い乳幼児は成長過程において、様々な病原菌やウィルスと接することで免疫を獲得していかねばなりません。子どもが熱を出すことを成長過程においては「当たり前のこと」です。子どもは成長の過程において様々な病原菌やウィルスと接し、免疫をつけることで体の抵抗力を高めていきます。成長過程において、子どもが熱を出すことは健康で強い体を創るために「必要なこと」です。
とは言っても、仕事を休めない日もあります。働く親の7割が悩んでいるのが現状です。
フローレンスは、病児保育の解決によって、子どもが病気になった時、仕事を休んで母親が看る日もあれば父親が看る日もあり、どちらも休めず困った時には家族以外にも頼れる人や手段があるーそういった”子育てのインフラ”を構築していくことで、子育てと仕事の両立が可能な社会を実現しようと活動。訪問型病児保育を首都圏で展開しています。
現在、会員は3000名。共済型モデルで財務をまかなっています。(自動車保険をイメージすると解りやすいと思います)3ヶ月の利用回数に応じて月額が上下します。(平均7000〜8000円)
「こどもレスキュー隊員」は、保育園や幼稚園で先生をしていた方、働く親御さんをサポートしたい!という想いのベテランママなど、20代から60代の方です。新人研修で病児保育の基礎を学び、現場に出てからも定期的な研修で常に専門性を磨いています。また提携する女医さんが、病状に応じて巡回しています。
(現場に行っていない隊員は、出動している隊員と連絡を取り合い、アドバイスも行っています)
2008年からは、ひとり親家庭の病児保育サポートも始めました。このプログラムは、寄付によるもので、現在個人の寄付会員が600人。横浜市の例では、企業ゴールドマン・サックス証券がおよそ1500万円の寄付を受け、年収300万円以下のひとり親世帯に割安な費用でサービスを提供出来るようになりました。
フローレンスは、この他、待機児童問題に対処するための「おうち保育園」被災地支援事業として「ふくしまインドアパーク」と「希望のゼミ」など、様々な事業にを展開しています。
「おうち保育園」は子ども3人に保育スタッフ1人という手厚い人員配置、待機児童の多い地域の空き住宅を活用して保育を行っています。来年度から実施される「子ども子育て新システム」では、この規模のものも認可保育園になります。小規模保育のパイオニアとして運営ノウハウを全国に広げていきたいと、夢も語ってくださいました。
フローレンスの事業の一つに「コミュニティ創出事業部」があります。子育てではなく『孤育て』問題を解決出来ないか?
かつては隣近所が子育てを支えていましたが、今は孤独な子育て『孤育て』が、不安や虐待など様々な問題を引き起こしています。「子どもと子育てのコミュニティ」を実際に展開している「グロースリンクかちどき」も調査させて頂きました。
「グロースリンクかちどき」は、都営大江戸線・勝どき駅のすぐそばにある子育てマンション「アパートメンツタワー勝どき」の中にあります。
45階建ての賃貸マンションで4階〜11階が子育て世帯専用住居になっています。未就学児童を持つ100世帯が入居しています。3階までが共用スペースで、認定こども園や小児科・プレイホールやじゃぶじゃぶ池などがあります。この共用スペースは、マンションの住人だけでなく、近所の方々がどなたでも利用出来るスペースです。
人気の巨大ジャングルジムのあるプレイルーム。一年間で13000人以上の家族が訪れたそうです。その楽しい雰囲気をご紹介!
(子どもと親のための絵本と雑誌のコーナー。お母さんたちもくつろいでます!)
コミュニティガーデンでは21家族が緑とともに交流も育んでいます。
安倍政権は「女性の社会進出」をかかげていますが、今回の視察のような取り組みに真摯に取り組み実現させない限り、「絵に描いた餅」になりかねません。民間のノウハウの方が一歩先をすすんでいます。県も、積極的にこういった事例を学び、取り入れていく姿勢が必要だと感じました。
今年度は、県民企業常任委員会に所属することになりました。今日ご報告した内容も委員会のマターになります。しっかりと議論し施策に活かしていけるよう頑張ります!