社会問題総合対策特別委員会県外視察 ・4 (vol.136)
2012/02/09 ブログ by 安川有里
四国で一番小さな町ー徳島県上勝町。
人口は(H22.4.1現在)1964人、高齢化率は49.54%。
徳島県で最も人口が少なく、高齢化率が高い町です。
そんな上勝町が脚光を浴びることになったのは、「葉っぱビジネス」。
どんなビジネスで、それが「高齢者支援」どう関わっているのかを調査しました。
まず、出迎えてくださったのは、笠松和市町長。
カレンダーの裏を使った名刺をいただき、
そこから、上勝町の「持続可能な地域社会」への取り組みの様子について説明していただきました。
その後、(株)いろどり溜本弘樹さんから「いろどり」活動と、
高齢者が元気で働き続ける秘訣について、話を伺いました。
1980年代の上勝町は、激動の時代でした。
様々なことに限界がきていたのです。
徐々に人口が減少し、主な産業だった木材や温州みかんは、
輸入自由化や産地間の競争で伸び悩んでいました。
1981年2月、マイナス13度という局地的な異常寒波に襲われ、
ほとんどのみかんが、枯死。ゆこうやすだちも枯れ、農業は大打撃を受けました。
この歴史的災害を乗り切るため、軽量野菜を中心に栽培品目を増やす努力を始
めました。これは、ひとまず成功をおさめました。
しかし、半数近くを占めるお年寄りが、活き活きと過ごすため、何か出来ないか、女性が活躍できる仕事は……模索を始めました。
そんな中、当時農協の職員だった横石知二さんが、
たまたま立ち寄った大阪のお店で、料理ではなく「飾られている葉っぱ」にイ
ンスパイアされたのです。
当時、料亭では添え物の葉っぱ等は、料理人自らが山に取りに行っていたそうです。
「うちの山には葉っぱが一杯ある」
つまものー日本料理を美しく彩る季節の葉や花のこと。
ポイントは、軽量で綺麗、女性や高齢者でも取り組める‼
町に戻って、提案したものの、そんなものが売れるのか⁇
当初の賛同者は4名でした。
市場での反応も、よくない…
何故なのか?ー横石さんはその理由を考え、現場を徹底的に調査することを決意。
料亭巡りを始めたのです。その数、数百件、全て自腹で。
生産者の努力もあり、上勝町の葉っぱは市場でうけいれられるようになり、
町で取り組む方達も増えていきました。
農協の職員だった横石さんは、1998年に第3セクターによる株式会社を設立し、代表に就任しました。
現在の年商は2億6000万円、中には、年収1000万円を稼ぐおばあちゃんもいるそうです。
これを支えているのは、ブロードバンド・ネットワーク。
生産者たちはPCを駆使し、全国の市場情報を収集して、
出荷する葉っぱの数を調整しています。
最近では、NTTドコモと連携し、タブレット型PCを導入して、
農場で、生産・収穫しながら、情報を得ることができるようになりました。
このような取り組みの結果、高齢者が活き活きと生活し、高齢化率が50%近くでありながら、医療費は徳島県内で最も低く、寝たきりの高齢者も数名程度ー農業以外の成果が出てきています。
視察の2日目に調査した尾道市の医師会の取り組み、そして上勝町の取り組み、
どちらも、民間にリーダーいて主導した「成功例」です。
神奈川県における地域活性化の方法を検討するのに、大いに参考になる県外視察でした。