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社会問題総合対策特別委員会の県外視察 ・ 3 (vol.135)

2012/02/08 ブログ by 安川有里



(尾道市医師会館)

広島県尾道市医師会では、1994年から医師会が主体となって
地域の中核病院、訪問看護ステーションおよびケアマネージャー等が連携し、
在宅高度医療を提供する「尾道方式」を推進しています。
このシステムを作った片山壽医師にお話を伺いました。


(片山医師の『尾道方式』の説明)

東京や埼玉での10年に及ぶ勤務医生活を経て父親の診療所を継いだ片山さん。
当初は「在宅医療に熱心なお医者さん」だった・・・転機が訪れたのは91年のこと。
尾道医師会の理事として、新設された救急組成委員会を担当することになりました。
そこでの熱心な議論が契機となり、急性期病院と診療所の連携が始まりました。

94年、主治医機能として「多機能性」「柔軟性」「説明責任」の3原則を掲げ、
このコンセプトをもとに包括的な地域ケア体制を構築してきました。
動きは、福祉関係団体などにもその輪が広がり「尾道方式」は今も進化を続けています。

「尾道方式」の特徴が最もよく表れるのが ”ケアカンファレンス ”
主治医宅に医療や介護の担当者が集まり、患者や家族を交えてケアの確認を行います。
事前に資料を読み込んでいるので所要時間は15分ほど。終われば、即現場へ。
実に、フットワークも軽い。

在宅主治医が中心となり、担当患者が再入院した場合は、
病院主治医との連携を図り、退院前はケアカンファレンスに参加して、
継続的なケアを図ることはもとより、医療・介護・民生委員・社会福祉協会など、
地域の「多職種協働」を実現させています。

「これからは、高齢者が高齢者を支える時代がやってくる。
元気な人が、元気のない人を支える。
地域医療は覚悟が必要。地域のつながりは財産だ。
医療が動けば、地域が動く。」、と片山さん。

家族に囲まれて、尊厳を最重視した在宅ケア。
「ひとりの人と関わったら、最後までその人が希望する医療を提供するのが主治医。
家で死にたいと言えば、あらゆる手立てを使ってでも絶対にかなえてあげる。
不安ならば、不安じゃない状態に、どうやればしてあげられるか
それが、医療や福祉の仕事。」とも。

尾道の高齢化率は、現在およそ30.5%。神奈川県は2010年で20%を超えています。
(先月末に発表された将来人口推計によると、50年後には日本の人口の約4割
が高齢者という超高齢化社会が到来するということでした。)
高齢者社会の中、医療制度や福祉制度の変革で、医療難民・介護難民が懸念される声が上がる一方で、
患者と一体になって医療・介護に携わるチーム「尾道」の存在があります。

神奈川県は2006年に「かながわ高齢者保健福祉計画」を策定、
2009年に改定し、高齢者が住み慣れた地域で安心していきいきと暮らし続けられる地域づくりを目指しています。
尾道市と神奈川県。規模も人口も違います。
しかし、高齢化に対応する、医療・介護・福祉の連携システムは、
神奈川県に取り入れることが出来る、いや、やらなければいけないと、
実感して調査をおえました。


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