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県内視察・12月② (vol.111)

2011/12/25 ブログ by 安川有里


12/22は、環境農政常任委員会関連の施設を視察しました。

まず、県庁から山北にむかいました。
目指すは、『大野山乳牛育成牧場』。

それまで漠然と「何故、県営の牧場が必要なのか?」と思っていた疑問が解決し、私が考えている「強い畜産業の育成」の為の施設であると理解できた有意義な視察でした。
神奈川県は農畜産の用地が狭いにもかかわらず、県民178万人に新鮮で美味しい牛乳を供給しています。しかし、都市区域で経営を営む酪農家が多いため、
生まれてきた雌子牛を十分な運動をさせ、のびのびと育てることが難しい状況です。
そこで県は、このような酪農家の後継牛を能力の高い立派な雌牛に育成する為に牧場を建設しました。それが『大野山乳牛育成牧場』です。
昭和43年(1968年)に完成しました。
丹沢の大野山の山頂部を利用した牧場です。
釣鐘状の地形で傾斜が急なことから、山頂部の比較的平坦な場所を採草地とし
て活用し傾斜が急な中腹部を放牧地として利用しています。


(大野山山頂から、富士山を望む。曇っていてくっきり撮影できず、残念)

(相模湾側。晴れていると、大島まで見えるそうです。手前が放牧場と牧草地)

(牧場が出来た頃の写真)

毎年、80頭の雌子牛(約6ケ月齢)を受け入れ、牧場で放牧。足腰の強い元気な牛に育てます。
それぞれの子牛の成長に応じて、順次秋頃から人工授精を行い、翌年の春から秋にかけて妊娠が確認された牛を酪農家のもとに返します。
牧場で育った丈夫な雌牛は酪農家で出産し、たくさんのミルクを生産します。


(元気に飼料を食べる牛たち)

(見学する私たちに挨拶にきてくれました)


(搾乳機。指を入れて機械がしぼる感覚を体験しました)

また、牧場のほぼ中央部には、『まきば館』があります。

(まきば館・入口)
県産木材を活用した開放的なデザインで、オープンデッキ(ウッドデッキ)では牧場の雰囲気と合わせて四季の移り変わりを肌で感じることができます。すぐ近くに育成牛舎があり、放牧されていない冬でも牛を真近で観察することができます。
ここでは、小学生や親子を活用し対象とした「畜産交流教室」(バターやチーズを作ったり、飼料を牛にあげたり……楽しい体験教室です)やパネル&写真展示、牛さんへの手紙コーナー等、ふれあいの施設、それが『まきば館』です。

現在の神奈川県の畜産業について、かなり詳しいお話を伺うことができまし
た。畜産、特に酪農家は専業農家で、安定経営を営んでいるところが多いそう
です。とはいっても、後継者の件など、問題が沢山ある事も事実です。
さらに、TPP参入となるとどうなるのか…との不安を訴えている農家多いそうで
す。TPPへの参加・不参加にかかわらず、これからの農業、特に畜産業は「強い畜産業」を目指して施策して行く事が重要だと考えています。
芳賀議員と2人での視察。質問をたくさんしましたが、一つ一つ丁寧に回答してくださいました。常任委員会で活かしていきたいと思います。

2カ所目の視察は、厚木のファーマーズマーケット・夢未市。

都市農業の神奈川県、地産地消で地元の消費者に安心・安全な農産物を、と出来た「夢未市」。
オープンして2年、平日は地元の住民の方たち、土・日曜は交通の便のよさ(東名厚木インターや246号線に近い)からか、県外・市外のお客さんも多いそうです。
地場産のものが70%の魅力にくわえ、友好都市の網走・横手や提携都市の沖縄の特産品も販売していて、人気のコーナーになっているそうです。
価格も魅力のファーマーズマーケット。
ここでは、出荷している農家の方が自分で価格を決め、POPをつけてアピール
しています。生産者の顔と生産品にかける思いが伝わるマーケットです。

また、近くに畑と田んぼを所有していて、子どもたちの体験教室では、収穫から料理して食べる事までをカリキュラムにしているそうです。
都市農業が中心の神奈川県、今後のあり方を、JA厚木の方々と「夢未市」の店長さんと意見交換する事が出来ました。

3カ所目は、『神奈川県自然環境保全センター』。


(木の暖かさが伝わってくるセンターの外観)
緑の保全・創造に係わる諸問題への対応や自然環境の保全・再生に関する諸問題に対応する為に設立されたセンターです。
管轄地域はとても広く、県立丹沢大山自然公園を始め、県立陣馬相模湖自然公園・県立真鶴半島奥湯河原自然公園までを管轄するとのこと。
今回は、研究内容についてのお話を中心に伺いました。
「自然環境の保全と再生」がキーワードのセンターは、はく製やパネル展示や行事を通じて、環境保全の推進を訴えています。


(センターの一階。水源保全のお話をVTRで紹介)

(以前の丹沢の森の中を再現したジオラマ)

施設の中には、傷ついた鳥獣を保護する施設もありました。
翼を怪我して保護されたツバメや皮膚の病気になったタヌキ等、保護された動物たちは、獣医さんの手当を受けて、リハビリ?をして、徐々に元気を取り戻し自然に帰っていくそうです。


(傷ついて飛べなくなったツバメたち)

また、すっかり国民病?となった花粉症、いまや県民の4人に一人と推定されています。
神奈川県では、花粉症の根絶を目指してして、品種改良。新品種のスギとヒノキの苗木を開発し生産・普及を進めています。
今回の視察では、「無花粉スギ」の苗木を実際に見る事が出来ました。


(雄花を測定中。来春は花粉の飛散量は少なめとか)

(これが、『無花粉』スギの苗木♡)
私は、大学卒業式の前に花粉症になり、日本臨床アレルギー研究所で「今までで、最も重い」花粉症と診断されて、以来30年、スギ花粉症と付き合っています。
無花粉スギ、苗木に抱きつきたい気持ちになりました。
研究してくださった方々に感謝です。

視察の最後は、自然環境保全センターが管轄している「宮ヶ瀬ビジターセンター」。
ここは、丹沢大山の自然に親しみながら自然の仕組みや付き合い方を学べるセンターです。


(宮ヶ瀬ビジターセンター)

環境農政常任委員会で扱っている水源の保護について、改めて、自分達の「眼」で見なければいけないと実感。
丹沢へ、来年春以降に登って、実際に調査する事を決めて、視察を終えました。
ビジターセンターの前では、クリスマス・イルミネーションが見られる…と聞いて、30分ほど待って、宮ヶ瀬のクリスマスを少し楽しんで県北を後にしました。
芳賀議員との視察、聞きたい事をしっかり聞けて、問題意識を共有できた一日でした。


(ビジターセンター前の広場)

(ダム湖の橋にもイルミネーションが・・・)


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