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「いじめ防止プログラム」指導者養成講座に参加して (vol.251 )

2013/02/13 ブログ by 安川有里


2/9~2/11の3日間、栄区のあーすぷらざで、
「いじめ防止プログラム」指導者養成講座が行われ、参加してきました。


(40人近い参加者。大阪や福井、茨城からの参加の方も。)

「いじめ防止プログラム」は、暴力を使わずに対立を克服する方法や、
自分も他人も大切にすることが暴力防止につながることを、子どもたちに伝えるプログラムです。
また、無関心な傍観者をなくすことが、いじめ対策の効果的なアプローチの一つだといわれています。

今回の講師は、湘南DVサポートセンターの瀧田信之理事長と、
ミネソタ州のONE-T代表の David J.Mathews氏。


(瀧田理事長。2/2の勉強会でも講師として横須賀まで来て下さいました。)


(David J. Mathews氏)

Mathews氏は、いじめ・ドメスティックバイオレンスなどの暴力防止に携わり30年。
刑務所の保護観察プログラム、地域の暴力対応プログラム、家庭統合プログラムなど数多くのプログラムを開発されました。
現在は、児童虐待防止団体などの役員を務めながら、企業・行政機関向けの研修を行っています。

瀧田さんからの、「いじめ防止プログラム」「スクール・バディ活動」についての説明の後、2日半のMathews氏の講義が行われました。

「規制概念を捨てて、アメリカの様子を受け入れてほしい」と、講義の冒頭でMathews氏。


(いよいよMathews氏の講義開始。通訳は瀧田さん)

80年代のなかば、ノルウエーとスウェーデンで、いじめが話題になりました。
ノルウエーで、いじめが原因で3人の子どもが自殺をしたのです。
そこで、政府はアンケートを実施、研究をはじめました。

1999年、コロラド州の高校に2人の高校生が銃を持って乱入し、
カフェテリアで乱射し、自殺しました。
2人の共通点は、幼い頃にいじめられた経験をしていたこと。
この事件がキッカケで、全国で、いじめと暴力防止のプログラムを作りました。
目指すは、”Safer and Saner”school。
加害者だけでなくその周辺をも含めたプログラムです。
しかし、ミネソタ州他いくつかの州はプログラムを活用したものの、
計画で終わり、実施されない州も多かったそうです。
コロラド州の銃乱射事件から、
コネチカット州の事件(昨年末、20人の子どもが銃乱射で犠牲になりました)の間に、
何千人もの子どもがいじめが原因で死んでいます。

ノルウエーでの研究事例なども参考にしながら、
「安全な学校」を目指す試行錯誤が続いているそうです。

問題が起こった時に対処するのは、一番簡単なことです。
全ての暴力を許さないという動きを作り、加害者を作らないための予防教育が重要。
初日の講義はこの言葉で締めくくられました。

2日目からの内容は、写真を中心に報告します。


(2日目は特に、ノートを取るのに追われ、写真が少なめです。こんな感じでノートした分量は3日間で30ページ)


(パワーポイントの内容は、最終日受講後に配布されました。ただ今、復習中!)


(積み木とボードを使って。1つのルールーが提示され、それをどう解釈するか?いじめもいろいろ。固定観念や目の前のルールに振り回されないようにという事を体験しました)


(このアクティビティでは、受け入れる事、そしてサポートする事を学びました)

どんな子どもがいじめっ子なのでしょうか?
いじめっ子の85%〜90%が幼少期にトラウマを抱えているそうです。
そこで、ここ10年程、アメリカではエイシーズという研究が行われているそうです。
(Adverse Childfood Experiences)
ネガティブな体験をした子どもが、成人したあと心臓疾患やぜんそく、精神疾患・がんなどになる事もある・・・・
加害者が、どのような体験をして来たのかを理解しなければならない、とMathews氏。


(小学生向けの、飛び出す絵本の教材を開発中)


(さまざまな立場の人たちのネットワークで、問題を抱えた子どもを支えていこうというアクティビティ)

今回の講座に参加して、一言で3日間をあらわすとしたら、
その言葉は『Assertive』
辞書によると主張的。
しかし人間関係をあらわすとき、日本語に訳すのに適切な言葉が見つかりません。
アグレッシブでも、パッシブでもない、
例えば、ものを得ようとしたとき、
アグレッシブなら欲しいものをもぎ取る、
パッシブなら相手が欲しいものをくれると期待する、
アサーティブは得られるかもしれないし得られないかもしれない、自分の問題を出来れば思う方向に行かせてくれる車のようなものと説明がありました。
3日間を通じて、Assertiveな行動とは?が、体と頭で理解できたと感じています。


(Healing Circlesというアクティビティ。クラス内に問題が起きたとき、加害者がどんな気持ちだったのか、それを見ていた子どもが何を感じたのかを輪になって話していきます。最後は、「君たち一人ひとりに何が出来るのか?」という質問に導いていきます。この時に大切なのは「誰も非難しないこと」「行為を否定しても、人格を否定するのではないという事」です。Healing Circlesを重ねる事で、深刻な事例が減って来ているそうです。)

最後に、参加者が6つのグループに別れて、3日間を振り返ってそれぞれの思いを模造紙に描きました。


(私の所属したグループは、小学校の先生が2人、学芸大学に通っている学生さん、市議会議員、そして私の5人)

最後に、描き終わった作品を披露し、どんな思いを込めたのかを発表していきました。


(記念撮影)


(私たちのグループの作品)

みんなのネットワークで子どもたちを支えていく。
ニコちゃんマークのような笑顔いっぱいの学校を!
そんな思いで、3日間の養成講座を終えました。


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