震災がれきについての要望
2012/02/18 ブログ by 安川有里
本日(2/17)、横須賀市の大楠町内会から震災がれき受け入れの撤回を要請するための文章が知事に届けられました。以下がその内容です。
震災がれき焼却灰の「かながわ環境設備センター」への受け入れ案についての撤回要請
神奈川県知事
黒岩 祐治 様 平成24年2月17日
貴職におかれましては、平素から私ども県民のために、生活環境の向上など、ご尽力賜っておりますことに対し、心から深く感謝申し上げます。
平成14年、神奈川県と芦名町内会との間で「産業廃棄物最終処分場の建設と運営管理に関する協定書(以下「協定書」)を結び、「公害」を絶対に出さないことを最大の条件として、基準を厳格に設けてきました。この10年間、神奈川県は「協定書」を遵守し、定期的に排水等の有害物質の数値を町内会に提示及び回覧するなど、神奈川県は芦名町内会との間で地道に信頼関係を築いてきました。
しかしながら、黒岩知事は平成23年12月20日、神奈川県議会本会議において、「被災地のがれき」を横浜・川崎・相模原の政令三市で焼却し、焼却灰を県の有する最終処分場に搬入することを、事前に協定当事者の芦名町内会に何らはかることなく表明しました。
1月15日の大楠連合町内会在住者を対象とした説明会では、知事からは被災地の体験をもとに説明がなされましたが、「焼却灰に含まれる放射能濃度の受け入れ基準」や「知事の言う(地元)はどこか」という根本的な質問にたいしても、あいまいな答弁を終始するとともに、その後の定例記者会見では、「私のプレゼンテーションを聞けば、普通の人なら理解してくれるはず」「反省していない」等、地域の尊厳を著しく踏みにじる発言を繰り返しました。上記の経緯に加えて、
1.震災がれきが100ベクレル/�以下であっても、横浜・川崎・相模原の政令三市で焼却時に、一般ごみの焼却灰と分別できないことから、必ずしも震災がれきの焼却灰が搬入されず、高濃度の放射性物質等が搬入される可能性があること、さらに、県内外の高い放射線量を含む汚泥焼却灰等の搬入に道筋をつける危険性もあること
2.当センター及び下流に位置する西浄化センターに関しても放射性物質の安全な管理及び除去の機能がないため、下流域で放射性物質が濃縮される恐れがあり、最終処分場であることから、将来にわたっての安全が保障されないこと
3.下流域周辺には、多くの住民が暮らし、子供たちの通う小中学校もあり、小田和湾には佐島や長井のたこやひじき等の近海の魚介類、芦名や長坂の大根やキャベツなどの生産地があることから、安全で安心な生産物の提供が困難になる恐れがあること
4.震災がれき焼却灰の搬入による「風評被害」については、予測不可能な影響が想定され、大楠地域のみならず、三浦半島全体の農業・水産業にも与える影響が極めて大きいこと
5.さらに、子供たちや妊婦への放射性物質の影響を拭い去る十分な根拠が見当たらないこと
といった問題があります。
私たちは被災地への支援についても全国のみなさんと思いは同じです。しかし、水と大地と子供たちの未来に不安を残す選択をすることはできません。
私たちは黒岩知事が表明された、放射能に汚染された焼却灰の搬入については受け入れることはできません。私たちは多くの地域住民の声を受けて、2月5日、大楠連合町内会は、全会一致で持ち込みに反対の決議をあげました。直ちに震災がれき焼却灰の持ち込み案の撤回を求め、下記の事項について要請いたします。
記
一、神奈川県は黒岩知事が表明した震災がれき焼却灰の持ち込み案を撤回すること。
二、神奈川県は芦名町内会との間に結ばれている「産業廃棄物最終処分場の建設と運営管理に関する協定書」の改定を断念し、従前の規定を遵守すること。
三、神奈川県は放射能に汚染されたすべての廃棄物については、今後も「かながわ環境設備センター」に搬入しないこと。
四、神奈川県は、本件に関して地域と個別に交渉をしないこと。本会が必要と認めた場合に限り、窓口は大楠連合町内会役員会とすること。